smellbomb’s blog

主にマイコンと電子工作

PWM制御の差異と出力トルク

現在作成中の猫を追いかける予定の車ですが、

概ねモーター制御側の雛形は完成してきました。

 

最終的にバッテリーで長時間駆動させるために、

適切なモーター駆動条件を確認しました。

確認した項目としては、以下の通り。

・PWM駆動周波数

・PWMOFF期間をFastDecay、SlowDecay

・減速側出力のON/OFF

 

 

■HブリッジのFastDecayとSlowDecayについて

概要だけ説明します。

FastDecay:PWMOFF期間を電源側へ回生

SlowDecay:ダイオードを介して逆起電力を再利用。

※SlowDecayは回生ブレーキと同位になります。

IndexPro様に分かりやすい解説があるので、紹介します。

www.indexpro.co.jp

 

尚、L298Nを使用する場合、

SlowDecay:EnablePinをONしたまま、InputPinをPWM制御

FastDecay:InputPinをCWかCCWで固定し、EnablePinをPWM制御

データシート抜粋し以下の通りです。

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L298N_mode

■試験条件

機材詳細は以下の通り。

但し、以前は各種モータードライバの駆動はフォトカプラを介して駆動していたが

撤去し、マイコンTTL出力で直接駆動。

 

smellbomb.hatenablog.com

 

■試験方法

以下写真のように、駆動輪を空転させる形で実施。

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トルク試験状態

マイコン内で5ms周期でPID制御を実施。

・回転数が規定回転数に到達後、指令値±1rpm時点のPWMのDuty平均値

※回転数、及びDutyは5msサンプリングの50回移動平均

・駆動電源は、DC12V/1.5Aスイッチング電源

 

 

■実験1

PID制御で加速側のみCW方向にPWM出力ON、減速側はDuty0%。

PWMOFF期間をFastDecay、SlowDecay

PWM駆動周波数は50Hz~100kHz

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回転数とPWM駆動周波数ーDuty(出力は加速側のみ)

■実験2

実験結果1に付随して

・PID制御の減速側CCW出力有無で比較。

尚、駆動周波数は代表として10kHzで実施。

 

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※CW,CCWの総和より時間平均としてある。

■実験結果まとめ

・基本的にFastDecayを採用するメリットはない。

・スイッチング損失等色々コミコミで考えたときに、SlowDecay運用であれば

 PWM駆動周波数1kHz以上は、ほぼ出力トルクは一定と考えられる。

・定速状態であれば、PID出力の減速側をCCW出力を行ったとしても

概ね5%程度でDutyが増加した。

 

■所感

特に細かく制御を切り替えず

PWM駆動周波数は10k~50kHz程度で、SlowDecacy運用。

急停止による駆動系への負荷を気にしなければ

終始加減速を考慮したPID出力で良さそう。